レビュー

[書籍]バード チャーリー・パーカーの人生と音楽

チャーリー・パーカーの本が出ていたので読んだみた。
ジャズを聞いていた私にとってチャーリー・パーカーの音楽は知っていたつもりなので彼の人生などについてさらに知りたいとこれまで思ったことはなかった。
CD、レコードに限らず映画「バード」などでも語られるパーカーの人生の断片をいくつも手に入れていたからだと思うのだが、改めて読んでみようと思うに至る興味は、何よりこの本を紹介していただきSNSで刊行記念のイベント(https://www.shinko-music.co.jp/report/charlieparker20201217/)で久々、音楽を語っている場に対する懐かしさのようなものが湧き上がってきたことがきっかけだったのだろう。

この本は、とても今日的で溢れかえる情報を精査して整理したものだと言える。
そのおかげで、これまで知らなかった(もしくは忘れていた)様々なことが語られていて面白い。
パーカーのニックネーム、ヤードバードの由来がその状況を含めて記述されていたり、パーカーフリークのディーン・ベネデッティが実はどのような人だったのか。
ディジー・ガレスピーとの関係性、チェット・ベイカーとの出会いと背景などなど。
一番興味深かったのは、有名なマッセイホールコンサートの経緯だ。
どのような人物が企画をしてその実現に向けて準備をしたのかなども書かれていた。
用意周到に準備して何もイベントの予定がないことを確認しつつ日程を組んだにもかかわらず不幸にも同じ日に有名なボクシングの試合がぶつかってしまったことは運の悪い話として知っていた。
そのためか観客が埋まらず腹を立てたミンガスは途中でコンサートを投げ出した、といった醜聞として語られていたと思っていたのだが、どうやら本当のところはそのような話ではなかった。

ところで、パーカーの曲には例えばHow High The Moonのコード進行を使ったOrnithologyなど本歌以上の面白い曲などある。
既存の歌物(スタンダードナンバー)のコード進行を使ってオリジナルを作成するという方法が著作権を避けるためというのは想像できたが、それで直接的に喜ぶのはレコード会社ではないか、パーカーにとっては他にメリットがあったのだろうか。
ビバップの原型を提示したパーカーなら、オリジナルなコードとメロディもたやすく紡ぎ出すことが可能ではないかと思うのだがそれを知るすべがないのが残念だ。(野村秀樹)