レビュー

TONTOのマルコム・セシル逝去で思い出したこと

巨大シンセサイザーTONTOを作ったマルコム・セシルが他界したことを本日、出先で知り、最初に思い出したのが、スティービー・ワンダーとコラボレーションした際のビデオでした。モノクロの映像でスティービーが真ん中で演奏していて、パッチシンセの壁が周りにそびえ立ち左右の二人がシンセを操っている映像はかっこよかったんですよ。で検索してでてきたのがこれ。

この映像で、70年代前半のスティービーサウンドの裏側を初めて知り、TONTOという名前が記憶に残りました。
また、ギル・スコット・ヘロンとブライアン・ジャクソンもアルバム「1980」でTONTOを使っており、しかもジャケ写がTONTOをバックに二人が座ってるというもので、いいんですよね(以下の図)。

TONTOつながりで検索してたら色々気付いたことがあるのでまとめておきます。

ちなみに、TONTOはムーグとかアープとかのシンセを組み合わせたものなんですね。ピッチフォークのマルコム・セシル追悼記事の最後で紹介されていたビデオで知りました。
https://pitchfork.com/news/malcolm-cecil-synth-pioneer-and-stevie-wonder-producer-has-died/

TONTOは元々ニューヨークに設置されていて、それをエレクトリックレディスタジオに移したのでしょうか。ジミヘンドリクスの死の直後にこのスタジオの利用契約したのがスティービーとのことで、スタジオのデザイナーが、TONTOのプログラマー、セシルとマーゴーレフが二歩以上歩かずにパッチできるようにデザインしたとローリングストーンの記事で知りました。
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/29495

その後、ロサンゼルスのレコード・プラント・スタジオBにTONTOは移動し、その後サンタモニカのセシルのスタジオに移動したのちに、ギル&ブライアンの「1980」にも使われた模様。

巨大なので、セシルはTONTOの終の棲家(展示もして、現役ミュージシャンも使えるという条件で)を探し、カナダのカルガリーにあるナショナル・ミュージック・センターが条件にかない、数年にわたる修復を経てTONTO WEEKとしてセンターで展示イベントが開催されたのが2018年11月だったのです(私もさっき知りましたが)。
https://yycwhatson.ca/events/tonto-week/

なお、このイベントのサイトを見ていて、ええっと思ったのが、オペラ座の怪人などを引用した音楽映画「ファントム・オブ・ザ・パラダイス」にTONTOが出てきてたとのこと!主演のポール・ウィリアムズが奏でてるんですよね。いやーそうだったのか!

いずれにせよ歴史を作ってきたシンセ、それが個人蒐集家ではなく公的機関で保存されるようになったのはよかったと思います。長年病気を患っていたというセシル氏もTONTOに関しては思い残すことはなかったでしょう。

さて、冒頭にリンクした映像ですが、なぜこの映像を知ってるのか覚えてなくて、気になったので色々調べてみたら、BBCテレビのソウル・ディープというシリーズで出てきた映像だということがわかりました(スッキリ)。これ、NHKで2009年?に放映されていて、その時は当然ながら日本語字幕も付いてましたが、面白かったんですよね。TONTOが出てくるのは、5エピソード目の「Ain’t It Funky」という回でして、内容はジェームズ・ブラウンを軸に、60年代の米国の状況、JB以降のスライ、テンプテーションズやマービン・ゲイなどモータウンサウンドからP-FUNK、ヒップホップまでをカバーしたもの。その中で、デトロイト(モータウン)からニューヨークへ移ったスティービーのところで出てきた映像でした(以下の38分くらいから)。TONTOの映像もそうですが、それ以外の映像や構成もよかったのを覚えています。

ギル&ブライアンの「1980」についても、今日改めて(というか初めてかも)CDのために書いたブライアン・ジャクソンの書いたものを読んで、そうだったのか!と思ったことがありまして、後日書きたいと思います。GSH関連はnoteに「ギル・スコット・ヘロンの音楽背景を探して」というお題でまとめてますので、そちらに書こうと思ってます。
https://note.com/tnomura/m/mc7b27bab0caa