レビュー

[展示]音と造形のレゾナンス

バシェ兄弟は、「音響彫刻」というスタイルを生み出した。
音響彫刻とは、制作したオブジェそのものは彫刻作品として成立する上に誰でも美しい音を出すことができるもの。
という考え方を持っている。
今回の展示期間中何回かの演奏会も企画されていたが、全てこの状況下で中止となってしまい聞くことができなかったのが残念だ。
映像で確認する限り、とても魅力的で豊かな音が発せられるのを確認できた。
岡本太郎とバシェの接点はないそうだが、共に70年の大阪万博で作品を展示。岡本太郎の太陽の塔は有名だが、鉄鋼館というパビリオン施設のディレクターをした武満徹はフランソワ・バシェを招請、展示が実現された。
武満徹は「四季」という曲をバシェの音響彫刻のために作曲している。
発音の方法は、主に叩く・擦るといった行為によるため、パーカッションもしくはマリンバの奏法が使用されている。西洋の合理的なシステム、音階といった原理を利用していないことから「音響」すなわち音の響きそのものを感じることができる。様々な音に触れることのできる今では、サウンドエフェクトもしくはアンビエントなどという言葉が聞けばすぐに思い起こされるだろう。
今から50年も遡る70年にはどのように感じられたのだろう。武満徹の「ノベンバー・ステップス」が1967年だから、それ相応の受け止め方をされたのだろうか。
ちなみに最初に「ノベンバー・ステップス」を聞いたときは、和楽器とオーケストラの融合に衝撃を受けたことを思い出す。
万博の展示作品は、来日して半年かけて制作されたということだ。大阪の鉄工所をアトリエにして日本人の助手を伴って製作されたとのこと。「高木フォーン」「川上フォーン」「桂フォーン」「渡辺フォーン」「勝原フォーン」という5つの作品を製作。それぞれの名前は、制作時の仲間の日本人の名前からとったものだそうだ。今回の展示ではこれらの作品を2000年代に修復したものである。彫刻として見ても美しいが、美しい音は美しい形状から発せられるであろうことは、旧来の楽器の形状を思うと納得するところだ。
川崎市岡本太郎美術館
2020.7