[オープンレター]文化庁補助金不交付に対する手紙

文部科学大臣 萩生田光一 様
文化庁長官 宮田亮平 様

文化庁によるあいちトリエンナーレ補助金不交付をどうか撤回してください。

私は、東京在住のあいちトリエンナーレのいちファンです。2016年に初めて訪れて以来、展示内容だけでなく、場所の強度やボランティアのホスピタリティーに心を掴まれてしまい、その次の回となる今年もとても楽しみにしていました。

しかし今年は会期中ずっと落ち着いて観ることができません。それは展示内容や芸術監督のやり方に原因があるのではなく、テロ予告などの攻撃に対して、テロを許さないはずの国が全く抗議していないからです。補助金不交付も攻撃に加担する行為としか思えません。あいちトリエンナーレは国内最大の観客動員数を誇る国際芸術祭です。そのような芸術祭も日本博同様に『国際親善と世界の平和に寄与するための』意義あるプロジェクトではないでしょうか。

今回、私の意見をお伝えするに当たり、お二人について知りたいと思い、ウェブサイトなどいくつか参照しました。

萩生田大臣のご趣味は映画とお聞きしました。8月に開催されたTICAD7公式サイドイベントで映画「密林の慈悲 The Mercy of the Jungle」をご覧になったこと、ブログで拝見しました。そのご感想『少ないセリフの中で戦争の悲惨さ、平和の尊さを訴えるに充分な発信力を持った素晴らしい作品でした』に触れた私は、まるでアート作品との出会いと同じような印象を感じました。

また、宮田長官は文化庁長官だけでなく、東京オリンピックのメダルデザインコンペ座長など多方面にわたり文化のアンバサダーとしてご活躍されていることを知りました。長官の『文化がハンドリングを取れれば、経済や観光は確実に発展する』という発言に私も賛同します。

あいちトリエンナーレをめぐる問題は海外でも大きな注目を集めています。補助金交付中止は、果たして文化のハンドリングなのでしょうか。日本の文化政策に対する信用失墜になりはしませんか。不交付の撤回こそ今行うことだと考えます。

野村とし子
2019年10月4日