レビュー

[展示]黒多弘文展〜銀座奥野ビル306号室プロジェクト10周年記念企画第一弾

銀座奥野ビル306号室プロジェクトは10周年を迎えまして、11年目の2020年10月から翌年1月まで四回に分けて記念企画展を開催します。第一回目はプロジェクト代表の黒多弘文展。10月5日から11日まで開催しています。

作家の10年間65回の展示を65個の球体(鈴)で可視化し、10年前の展示である蛇口の水滴音を部屋に響かせ主人のいなくなった部屋に時間の流れを取り戻すインスタレーションを再現しています。

互いに影響し合う鈴や糸は最終日までどう変化するのか、そして水滴の音はどう変化するのか楽しみです。

(上記写真に夜の画像を追加しました)

私が銀座奥野ビル306号室の会員になったのは2015年の夏。その前に会員になりたい旨連絡して面談に訪れた際にも黒多さんの展示が行われていました。それが以下の展示で、部屋のステンレスのシンクを使ったインスタレーションでした。

シンクの下から懐中電灯の灯りがあるだけの薄暗い部屋で、これが展示ですと言われた時にちょっと衝撃を受けたことは今でも記憶に残っています。面談なのに電気つけないんだとか、そういう下世話なことを考えてしまいました。

study 25 / x−

今振り返れば、当時の展示は25回目だったのですね。

今回の展示で65回目だそうで、それにちなんだ展示内容になっています。お話を伺ったところ、306号室での最初の展示がステンレスのシンクに水道の蛇口からこぼれ落ちる水滴を溜めるインスタレーションとのことで、シンクに水が溜まってくると音が変化するということ。

水回り設備は10年間で更新していないのですが、今回の展示で気づいたのは、蛇口のL型の自在パイプの元からも水滴が漏れていて、蛇口からの水滴とは時間差がありこぼれ落ちる状況でした。つまりこの10年間で水滴のコール&レスポンスが自然とできてしまっているのです。そういうところに反応してしまうのは会員だけかもしれませんが(苦笑)。今回もシンクに水を溜め続けているので、音の変化を確認しに再訪したいです。

65個の鈴に関しては、鈴どうしの間隔がだいぶ空いていることもあり、ソーシャルディスタンスを連想してしまうし、糸に吊るされた鈴は水滴を連想すると同時に、飛沫も連想してしまい、この連想は今だから起きることで、昨年見たらどんな気分になったのだろうと思いました。

鈴に関してどうしても書いておきたいことが…
鈴は張り巡らされた糸に吊るされています。ものによっては床ぎりぎり触れそうな長さに調整されたもの(シンクの近く)もあり、それが会期中にどこまで下に下がってしまうのか、果たして床に触れてしまうのか、そんな興味も湧いています。余談ですが、上述のシンクの近くの床ぎりぎり鈴の挙動が明らかに他の鈴と違っていて、予測できない動きなんですよ。この鈴が気になっているので、できることならば、最終日まで床に触れないで予測できない動きを来場者に見せて欲しいと切に願っています。


銀座奥野ビル306号室プロジェクト10周年記念企画第一弾
黒多弘文展
2020年10月5日(月)〜10月11日(日) 13-19時
奥野ビル306号室

10周年記念企画 黑多 弘文展