つい先日、ウェブとデザインの今後について意見を求められました。このような抽象度の高い質問をもらうことがあまりなく、自分の底の浅さに改めて気付かされました。ウェブだのプログラムだのに携わっていても、結局何々の自動化の方法であったり、何々の構築方法であったり、やり方に終始しているだけだったんだなあと。
そして、「底の浅さ」に通じるのが、IT界隈にいるのにIT系の書籍をほとんど読んでいないこと。読んだとしてもマニュアル本がほとんどで、ウェブの今後を洞察するような書籍など皆無でした。だから、抽象的な質問をされても答えられないんですよね。多少読んでいれば受け売りくらいは出てきますよね。
たぶん知ったつもりになっていて、知らないことに気づいていなかったんでしょうね。まさに医者の不養生です。未知のものに触れると面白いです。それをアート系の書籍で体感している途中なのですが、自分の仕事関連でも知らない領域はあるのだから、何故もっと得意分野にしようとしないんだろう、私は?
一方、アートについて考えを深めたい場合でも、アート側からだけではなくて、自分の専門(例えば、ITとか医療とか料理とか)の深掘りをすることが、自分なりのアートの深化につながるのではないか、と今更ながらに気づきました。
書籍「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」は、以前書評サイトで見てはいたもののそれっきり。昨日再びウェブで目にする機会があり、記憶に残っていたので気になっていろいろ見てみると、著者のハンス・ロスリングのギャップマインダー財団のデータの見える化サイトが強烈なインパクトだったのです。
改めて、デザインにはぱっと見判りにくいデータを可視化する、ウェブには誰でもアクセスできる強みがあることに気付かされました。
ロスリング氏は2017年に他界しましたが、長年医師、公衆衛生学者として活動されてきた方です。
アフリカ、アジア、ラテンアメリカ地域における経済開発、農業、貧困、健康の間にみられる関係性に焦点をあてた研究も行っている。WHO、ユニセフ、その他の援助機関で保健アドバイザーを務めたこともある。
(略)
グローバル・ヘルスの教科書を共同執筆し、「事実に基づいた世界観(fact-based world view)」の考え方を促進している。出展:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハンス・ロスリング
ギャップマインダーの徹底的にインタラクティブなグラフ(例えば、収入x平均余命を大陸別にバブルチャートで表したもので、1800年からの推移を可視化・以下の図参照)や、教育プログラム(例えば、世界の人口の大陸別分布クイズ、予測、グラフ作りの練習問題)を見ると、あったらいいな的な発想ではなくて、事実に基づいて世界を見てほしいんだという強い思いをひしひしと感じます。そういう執念が新しいものを生み出すのだなと痛感しました。
このグラフに触れただけで想像が広がりますよ。例えば・・・
- 3言語対応しているけどもう少し他言語化されてもいいかも(インストラクションがちょっと複雑なので)
- 日本の統計グラフももうちょっとなんとかならないのか
- 総務省統計局ではエクセルとPDFでデータを公開しているけど、このような仕組みの導入を誰か提案しないのだろうか
- Google Chartsのアニメーションで似たようなことができるのだろうか
- 他にもすごいデータ・ビジュアリゼーションが見てみたい
早速購入した書籍「ファクトフルネス」についても今後書きますね。