写真家の今道子さんのトークイベントに参加しました。過去の作品から現在開催中の個展での展示作品まで60点ほどがスライドで紹介され、主宰の松本路子さんとのトークともに、時間が静かに流れるような雰囲気で素敵でした。お二人ともミチコさんということに今頃気づきました。
スライドは時系列に作品を紹介するものでしたが、今さんと言えば青魚の写真と思っていたので、食べ物撮影の始まりはキャベツだとは知りませんでした。セルフポートレイトもいくつか紹介されていましたが、いずれも演出が施された凝ったものでした。
それと、家の中で撮影するという点は一致しているので(そこだけしか一致してませんが)、お話を聞くだけではなく、参考になればいいなあと思い、スライドを見たのですが、まず思ったのは、今さんと私との違いがよくわかった、ということでした。つまり、今さんは物の見方に余裕があるというか柔軟ですね。生い立ちというかライフスタイルの差も一因かもしれませんが。
具体的に言うと、お話の中で点滴チューブ、剥製が出てきたのですが、点滴チューブであれば腎不全の猫の場合も手放せなくて我が家でもやっていました(皮下輸液ですが)。私の場合は、チューブの形が面白いなど、一呼吸おいて見る余裕がなかったなーと改めて思ったのです。
また剥製からは、どうしても先日他界したびーを思い起こしてしまいますが、死後の顔には辛さが見られず、もう少し若かった頃の顔になっていました(こちらの記事の写真)。そんなにも美しいと思ったのであれば、もうちょっと飼い主とコラボした演出写真を撮ればよかったなと今更ながらに思ってしまいました。
要するに、点滴チューブ=辛さ、猫の亡骸=悲しみ、という一義的な見方ではなく、多義的に見ようとする習慣を身に付けたいですね。これが足りないと気づいているから対話型鑑賞術を使いたいと実感しているのかもしれません。
と言うものの、キャベツの作品、青魚の初期の作品はとてもシンプルな構成で、次第により複雑になっていったのに気づきました。また、工夫を重ねていった過程がスライドを通してわかりました。変な言い方ですが、私の場合は、制作のPDCAが回せてないのかもしれません。
さて、冒頭に少し触れた、今さんの個展ですが、4月28日までです。また、個展に合わせて行われたインタビューも紹介しておきます。昨日のトークでも語っていたメキシコのこと、蚕のこと(必読です)も語られています。
- 今道子 Recent Works 2018
(2018/4/28まで) - 今道子インタヴュー「幻想とリアリズムのあわいで 生と死を見つめる写真」
ちなみに、対話型鑑賞術については↓