旅先での家族の写真を中心に構成した写真展。
作家のステートメント(※1)が素晴らしく、すーっと入り、反芻すると自分に返ってくる感じです。
挑むようにこちらを見ている写真。てんでバラバラな方を向いている3人。ホテルの外観、実はとある一室から3人が見下ろしている写真。家族写真というよりも演出写真に見える家族の写真。
母、祖母、2人の叔母という4人の女性から育てられた生い立ち、母の病気、祖母の他界後に始めた家族旅行など知ったからか、当初はそのような『私とは違う部分』しか見えてきませんでした。だから、旅先での家族の写真がパッと見スナップ写真じゃなくて演出写真なのは、差異を際立たせるためなのかと思いました、最初は。
思うに、家族写真って気まずいですよね(仲良し家族の人はそんなことないかもしれませんが)。もしかしたら、一枚の写真に一緒に収まってもらう手段として「演出」が欠かせないものだったのかもしれません。そして、旅も演出の一部なのかもしれません。
時系列に見ると、最初の頃は演出が凝っていたのが、時が経つにつれ演出が自然というか、演出のない写真になっていったように思えました。
十数年の歴史を一部とはいえ見てしまうと、不思議な感慨があるものです。初めて見た他所の家族の営みが自分の感情に入り込んでくるような感じ。私が経験した気まずい家族写真や家族旅行を思い出したり、写真の中の彼女たちが歳を重ねていく様子が私の家族と重なったり。
会場にあった写真集のダミーブック(※2)を見ていたら、展示されているような家族写真ではない古い写真がありました。一瞬、動揺してしまいました。変な言い方かもしれませんが、私には、家族写真を撮ることの答えのように思えました。
金山貴宏 写真展「While Leaves Are Falling…」
会期:2016年10月18日 (火) ~10月31日 (月)
時間:10:30~18:30(最終日は15時まで)
会場:新宿ニコンサロン
http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2016/10_shinjyuku.html#03
※1:ステートメントは以下のサイトに掲載されています。
http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2016/10_shinjyuku.html#03
http://www.akaaka.com/blog/12while-leaves-are-falling.html
※2:写真集は、12月末に刊行とのこと。
http://www.akaaka.com/blog/12while-leaves-are-falling.html
(このテキストは2016年10月28日に書いたものに加筆しました)