(写真は展示会場で撮影していただいたものです。ご笑覧ください)
植田正治が鳥取砂丘を舞台にTAKEO KIKUCHIブランドのカタログ撮影した話は、回顧展などで写真が数枚展示されていたりしていて、聞きかじり程度に知っていました。よくよく思えば、TAKEO KIKUCHIブランドの撮影は1983年、植田氏が70歳を迎えた頃であり、これが初めて経験するファッション写真。なぜ、その時になって?というあたりと、後年「砂丘モード」として知られるようになった作品群が及ぼした影響についても、展示の企画概要で説明されています。全く知らなかったので、そのようなことが判ってよかったと思いました。
なお、会期中は豪華ゲストによるトークショーが多く開催され、5月だけでも3回あるようです(詳しくは展覧会概要を)。
会場のアツコバルーには初めて行きましたが、靴を脱いで展示を見るというのに驚きました。が、無垢の木の床を歩いて写真を見たり、椅子に座ってドリンク(入場料の500円で1ドリンクが付きます)を飲みながら写真を眺めたりしているのは実にいい気分で、他では味わえない体験でした。
しばらくのんびりしていると気づけば来場者が皆帰ってしまい、さらに居心地のいい場になって、とてもいい気分になっていました。
「砂丘の写真の前では記念撮影なども可能です。」と、入場する時に聞いていたので、この際ちょっと撮っておこう、と思い始めたところに男性の方が現れて、「写真、撮りましょうか?」と声をかけてくれました。それならば、とiPhoneを手渡してお願いすることに。
ちょっと躊躇しながらも撮影に臨むと、「ちょっと二人ともそれぞれ向こう側を向いてみたら?」とか言うではありませんか。
この人って只者ではなさそうだな?とその時思いました。あとになって、ギャラリーの人から写真家の五味彬さんですよ、と言われるまで、植田正治の作品について、一つずつ丁寧に解説をしていただきました。五味さんは今回の展示の企画協力としても名を連ねている方でして、雑誌に掲載するファッション写真という観点や、植田正治の撮影手法という観点からも、おもしろいお話を色々聞く機会ができました。本当にありがとうございました。
伺ったお話を簡単に覚書しておきます。
- 砂丘モード=TAKEO KIKUCHIと思っていましたが、ネクタイブランドなど他のブランドの仕事もあるようです
- 必ずしも鳥取砂丘とは限らず、三宅島でロケをしたものも(かっこよかった)
- ファッション写真でも多重露光をしたものもあるようです
- プリントの色が不思議な写真がありましたが、晩年は実験的なことに挑戦し続けていたようです
■あの時代(とき)のホリゾント 植田正治のファッション写真展
会期:2016年4月16日〜5月22日5月29日(会期延長!)
開催時間:
水ー土:14:00-20:00
日・月:11:00-18:00
(火曜休み)
会場:アツコバルー
入場料:500円(1ドリンクつき)
展覧会サイト:
http://l-amusee.com/atsukobarouh/schedule/2016/0416_3617.php