今回の来日はCD「No Beginning No End」ツアーとしては最後のツアーらしい。ショウの冒頭ホセだけが登場し、そんなことを説明して、一人一人メンバーを紹介しステージに迎えていた。最後のツアーということもあるのか、特別な雰囲気が漂う。そういえば、ホセ、この日はジャケットを着ていた。
私がホセをライブで観るのは、今回が二度目で、昨年の同じ時期のビルボード以来1年ぶり。演奏曲目もほぼ同じだったが、ジャズのライブの場合、同じ曲でも長い間演奏しているとちょっとずつ変化していく。これが同じミュージシャンのライブに通う楽しみでもあり、今回もどんな風になっているのか観る前からワクワクしていた。
また今回はバンドメンバーのコーリー・キング(トロンボーン)は不参加(涙)、ストリングス(バイオリンやチェロ、4人)が参加。ショウの前半4曲はバンドのみの演奏、後半4曲はストリングス参加、アンコールはバンドのみ。
前半のバンドのみの演奏では、ソロになると曲の雰囲気がガラッと変わり、そこからまた歌に戻るときの展開にゾクッときて格好良かった。特に1曲目の「It’s All Over Your Body」はR&Bの曲っぽいのだが(ざっくりしすぎで申し訳ない)、ソロになるとバックの演奏がいきなりジャズな感じでパッと世界が変わったような感じだった。そんなあたりが1年前の演奏と大きく異なる点。
また、曲の途中にホセが他の曲を歌ったり(「Brown Suger」、「I Got A Woman」)するのもライブならでは。一人一人のソロが長めというのも聴き応えがあった。ソロ(というかアドリブ)といえば、ホセはDJが曲の一部を何度もサンプリングするかのように、ボーカルで同じことをやるのだけど、それもかなりフィーチャーされていて痺れた。
後半、CDにも入っている「Tomorrow」は元々ストリングスが印象的で、改めて曲とアレンジの良さが沁みた。雪景色と歌詞の『Last Winter was so lonley』が重なって素敵だった。またアル・グリーンの「Simply Beautiful」、昨年は確かホセの弾き語りだったと思うが、今回はストリングスと。良かった。この曲も知らない人が聴いたらホセのオリジナルと思ってしまうのでは、と思える程ピッタリ合う。
アンコールの「Promise In Love」、ホセとトランペットの黒田卓也が初めて一緒に作った曲と紹介していた。ツアー中に日本盤が発売された、黒田さんの「Rising Son」にも入っていて、CDを聴いたときに昨年のライブかなにかで聴いた気がしたのだけど、とても可愛いくて、魅力的な曲。ホーンの軽快なフレーズが心の中にいつまでも温かい余韻を残し、幸せな気分で帰路についた。
【セットリスト】
1. It’s All Over Your Body
2. Sword + Gun
3. Trouble
4. Do You Feel
5. Come To My Door
6. Simply Beautiful
7. Tomorrow
8. Little Bird
Encore) Promise In Love
【余談】
残念なのは、先にも書いたが、トロンボーン不在なこと。トランペットとトロンボーンのアンサンブルが聴けるのも、このバンドの魅力の一つであり、例えば「Do You Feel」など、歌の最後にホーンで温かく包み込まれるような音の広がりを感じるのだけど、そういう『定番』がなかったのは寂しかった。まあ、あれも、これも、とファンは欲張りかもしれないけど。