展示、映画、イベントみたものまとめ(2017年1-3月)

恵比寿映像祭関連が多かった、展示6、上映7、トークイベント4。ときどきブログ記事あり。

[展示]原久路 and 林ナツミ 写真展「少女シリーズ」
[雑感]双子かと思ってたら合成でした。あれだけ影が出てないスタジオ写真というのはiso3200でストロボもたいてるのかとわかりました。あの少女との出会いについて書いてありましたが、なんとなく腑に落ちた気が。だけどああいう顔の少女は結構見かけるような気が。たぶん顔だけじゃないのだと思うけど。
http://www.nikon-image.com/support/whatsnew/2016/1226.html

[展示]柳 幸典「ワンダリング・ポジション」
[雑感]ビテチョー記事を読んで行けばよかったーと思ったら会期延長と知り、これを読んで、絶対行こうと思った展示。
会場のBANKART初めて訪れました。いいですね。
関係ないけど杉本博司ロストヒューマンはこういうところでやればよかった。
さて、国旗や札の絵柄を蟻が巣穴を掘ることで再構成されるAnt Farm Project、瀬戸内海の犬島にあるというICARUS CELLの再現?など、見られてよかったです。
また全く知りませんでしたが、サンフランシスコのアルカトラズ島の刑務所跡でのFieldwork on Alcatrazにゾクゾクしました。
ビデチョー記事を改めてみたら、『日本現代美術が輩出したほとんど唯一の「PCアート」のトッププレイヤー。(略)現在から振り返ってみると、政治的イシューを極端に単純化し、スペクタクル化する柳の手つきをそのまま肯定するのは難しい。本展は、柳のような90年代的なPCアートの復権ではなく、もはや90年代的PCアートは不可能である、ということこそを告げる展覧会であった。』とあり。私が(article9などを)みた時に感じた違和感に似ている感覚だと思いました。古い作品なので今再構築するとどうだったのだろうか?など考えを巡らせました。
http://bankart1929.com/archives/1079

[上映]MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間
http://bd-dvd.sonypictures.jp/miles-ahead/

[上映]「アーサ女について」山城知佳子映像作品上映会
[雑感]上映会のみ参加しましたが、トークなしだと何が何だかわからないところも多々ありました。
上映作品は以下の3作。
「OKINAWA墓庭クラブ」(2004) 6分
「黙認浜 —浦添市イバノの海 —Complex.1 —」(2007) 30分
「アーサ女」(2008) 7分
以下のサイトに解説がありました。
あとから調べたくなるほどに説明がなかったイベント、これはこれでよいのかもしれません。
http://macokada.wixsite.com/uminoniwa/blank-3
http://www.mori.art.museum/blog/2012/12/post-209.php
後者のサイトで黙認浜について説明がありました。
これは「黙認耕作地」に由来する作者の造語とのことです。
黙認耕作地、あまりわかっていませんでした。
この知らなさっぷりに、こんなんでいいのだろうかと自問してしまいました。

[上映&トークイベント]銀座、次の100年のためのスタディ展「銀座建物ものがたり銀緑館」上映会&トーク
[雑感]銀座奥野ビル306号室プロジェクトのメンバー(石川信行氏、西松典宏氏)が制作した映像作品の上映会とトークがありました。銀緑館(銀座松坂屋と周辺の再開発により2013年に解体)についての映像で、建物の特徴や関係者へのインタビューに加えて、竣工年に諸説あるが本当はいつ建ったのか、建物のオーナーの自家設計と記録されているが本当なのか、という謎に迫る内容で、探偵小説を読んでいるような気分になりました。
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[上映]この世界の片隅に
http://konosekai.jp/

[展示]瑛九1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす
[雑感]瑛九のことは、靉光や靉嘔など、二文字の名前の作家と認識していたのみで、誰がどれを作ったかなどごちゃごちゃしているという認識の低さなので、瑛九がフォトグラムを作っていたなど知りませんでした。近美サイトでみたフォトグラムに魅せられてみたいと思い行きました。コラージュのレアルをみても、自身の中に元々備わっているものはひとつで、フォトグラムもコラージュもそれが表出されているんだなと思った次第。晩年の点描は目をそらすことができない程の力?を持った作品(一瞥するのが無理で見ろと言われて見てしまうような感じ)。
瑛九が24~26歳だった、デビュー前後の3年間に焦点をあてて、『友人への手紙を中心とした多様な資料を初公開し、若き芸術家の苦悩と葛藤を、作品とたたきつけるような言葉の両面から追体験いただきます』とのこと。よくよく考えると、肉筆の手紙やハガキを展示ケース越しに読むのは結構大変。近美のFacebookアップデート(読むべき。古賀春江に影響を受けていたなどわかる)やカタログで改めて読みたいです。
このような2階で開催する企画展は、順路的には4階〜2階の常設展をみて最後に回る展示室ということになりますが、それだと疲れて企画展に集中できない。こちらを見たい人は先に行った方がいい。
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/ei-q/

[展示]MOMATコレクション
[雑感]和田英作「おうな」と中村研一の戦争記録画にくぎづけ。古賀春江も見られて良かったです。岸田劉生が麗子を描いているのが意外と若い頃だと気付いて驚き。
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20161122/

[展示]黑多弘文展 「新月 1月28日」
[雑感]奥野ビル306号室プロジェクト代表の展示。

 昨年の秋306号室の壁紙が落ちた 何十年と陽を浴び元来の姿を変えた茶色い紙は 背中の糊が役目をかろうじて果たし ゆらゆらと耐えていた
立って壁紙と対面すると顔より少し低い位置に丸く鏡の日焼けの跡があった
日光写真のような鏡の跡がそれ自体が本物の鏡のようにみえ また輪郭のゆるやかな丸い形に昼の空の穴のような月をみて過去二回その壁紙の鏡の跡を使い展示をした
今はそのあと

http://306project.blog119.fc2.com/blog-entry-134.html
壁紙の鏡の跡を月にみたてた展示を過去に行っていて、その壁紙が剥がれてしまった今そのお礼をする、という作家の考え。
3年前の展示の際に会場を撮影していた映像(3年前の3つの鏡)が今の3つの鏡と向かい合っていました。
ギャラリー巡りをしていて知らないギャラリーになんとなく入ったらよくわからないインスタレーションをしていてすぐ出てきてしまったという経験に似た感覚。よくわからないと諦めるのじゃなくて、自分なりにあれこれ考えてみた方がいいに決まってる、と思わせてもらいました。
お金を払う美術館で得るものとはまた違うものを得ることができる、言い換えれば「なまな」「できたての」「作者の直の」考えを知ることができることを実感しました。

[レクチャーパフォーマンス]Chim↑Pom劇場
[雑感]最終日の2月5日に行ってきました。
内容は、これまでの活動をレクチャーと映像で紹介するもので(卯城さん)、最後にパフォーマンス。メンバーによる開演前のVJもよかったです
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[展示]第9回恵比寿映像祭
https://www.yebizo.com/jp/

[上映]《スーザン・ソンタグについて》―― マルチプルな私を生きる ジャパンプレミア
[雑感]恵比寿映像祭にて。
批評家であることは知っていたものの、読んだこともないし、顔も知らなかったし、人となりも知りませんでした。
15歳で大学、17歳で結婚、19歳で出産にも驚きましたが、映画を作る、演劇の指導、小説を書く、戦場に行くなど本当にマルチプル。恋愛対象も男女問わない。
また、あんなに写真や映像に収められていて驚きました。
彼女自身がフォトジェニックで、しかも自分でも十分にわかっていて、撮られるのも好きだったように思えました。
著書では「写真論」が有名ですが、映画をみたら「隠喩としての病い」「エイズとその隠喩」は読んでみたいと思いました。
帰宅後に少し調べたら、スーザン・ソンタグがコソボ空爆を支持していたと知り、少し引っかかりました。映画では、同時代的であることを信条としていたのが次第にそうでもなくなったなど、それをほのめかすような紹介にとどまっていました。
そう考えると、この映画は彼女を知っている人と知らない人だと評価が分かれそうですね。
彼女は、コソボ空爆支持の理由がジェノサイドを止めるためには空爆しかなかったと発言しているようです。一瞬彼女がユダヤ人だから、ジェノサイドにそのように反応するのかも、と思ったのですが、そのような判りやすい理由ではないものがあるのでしょうか。本来は戦争には反対の立場なのに空爆を支持してしまった、そのモヤモヤについて自身で検証されるとよかったのかもしれないです。
まあ、映画から見えた彼女の性格からして、そういうことはしなさそうな気もしましたが。

[上映&レクチャー]未来をなぞる上映会+トーク
[雑感]畠山容平監督のトークで制作指針についてのお話が聞けました。いわく、シナリオをつくらず、素材ノートを元に、監督いわく『まるで粘土をこねるように』作るようにしているそうで、監督が師事していた佐藤真監督がそうだったとのこと。映像を作ったことがないので想像できないのですが、これには驚きました。また、佐藤真監督が言っていたことで畠山監督自身も気をつけていると話していたのは、自分が意図せずに撮れてしまった!と思うものを撮ったとしても、使うかどうかには慎重になる。なんとなくわかるような気がします。自分に責任が持てないものは使わない方がいい、別な言い方をすれば、なぜ使ったのかを説明できないものは使わない方がいい、ということでしょうか。粘土をこねるようにとともに貴重なお話を聞けて、よかったです。

[上映]フィオナ・タン《歴史の未来》ジャパンプレミア
[雑感]恵比寿映像祭にて映像作家フィオナ・タンの劇映画デビュー作「歴史の未来」をみてきました。
筋立てはともかく、映像が圧倒的に美しかったです。
主人公が記憶喪失の男だからか、ファウンドフッテージ、監督自身の過去作、ドラマの現在なのか過去なのかわからないような断片的な映像がちりばめられていました。
断片的な点は飲みすぎた日の夜に見た夢に似ているような気がしました。
また、私は誰かという強迫観念に見ているこちらも緊張感を強いられ、やけに緊張するところは昔の実験映画(古い)を思い出しました。
荒廃した町の映像として、アイルランド、デトロイト、福島の津波被災地でも撮影されていましたが、とても印象的な映像でした。
https://www.yebizo.com/jp/program/detail/04-01

[上映]相互接続への夢―― 《ドリームズ・リワイヤード》ジャパンプレミア
https://www.yebizo.com/jp/program/detail/04-02

[トーク]恵比寿映像祭リンクセッション・マヌ・ルクシュx畠山直哉トークセッション
[雑感]恵比寿映像祭で上映された作品「相互接続への夢―― 《ドリームズ・リワイヤード》」の監督の一人であるマヌ・ルクシュさん、マヌさんと親交のある畠山直哉さんのトークが2月22日に恵比寿映像祭関連イベントとして行われました。
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[セミナー]CP+ Adobe画像処理セミナー(講師ジュリアン・コスト)
[雑感]横浜で開催されたCP+のAdobe LightroomとPhotoshopの画像処理セミナーが2月25日にあり、セッション全てに参加しました。自分の画像に対する考えがいかにお子ちゃまレベルかを実感したセミナーで、帰宅後数日はセミナーのおさらいに夢中になったほどでした。
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